« フェアトレード・アクション | トップページ | フェアトレード 2 ショッピング編 »

2008年11月24日 (月)

モダン・パパ/スウェーデンの父親理想像

1

雪の降りしきる月曜の授業後。

前々から興味があったスウェーデンの「パッパレーディグ(父親の育児休暇)」について、学校で「写真コース」を受け持っているアンナの夫、エーリックにインタビューさせてもらった。彼女たちはアンナの勤務地であるこのビスコップス・アーネ島の私の寮から30秒くらいの距離に住んでいる。2人が娘のサーリィと住む、ちいさな家のドアを開けると・・サーリィとアンナ、茶色のかわいい猫がお出迎え。アンナの焼いたチョコレートケーキとお茶でfikaしながら、エーリックに話を聞く。

スウェーデンの両親保険(Föräldrapenning/Parent insurance)
両親保険には、両親手当、一時的両親手当(子供が病気の時など)、mammaledighet(母親の育児休暇)、pappaledighet(父親の育児休暇)、労働時間を短縮する権利などが含まれる。


子供が8歳になるまでに、母親・父親合わせて480日間(16ヶ月間)の育児休暇が取得できる。このうちそれぞれ60日間以外はお互いに日数を譲ることができる。60日間は「mammamånad(母親月間)」と「pappamånad(父親月間)」として、お互いに日数を譲ることはできずそれぞれが取得しなければならない(男性の育児休暇取得を促すためにこの60日間という日数が義務づけられた)。アンナ/エーリック家は、スウェーデンでも珍しくアンナ(母親)が60日間のみ取得し、エーリック(父親)が残りの420日間を取得。

実際は、男性の育児休暇取得率は17%、女性は83%(2003)だそう。まだまだ新しい制度なので、女性の取得率のほうが圧倒的に多いのが事実のようだ。

480日間のうち、390日間は給与の80%が支給される。支給最高額は33000kr/月。最低保証額は9900kr/月(2008)。エーリックはストックホルムのクングスホルメンにある病院のICU(集中治療室)に8年間勤務し、給与は45000kr/月だったので最高額を超えてしまうが、勤務先との交渉によって、最高額と自分の給与の間くらいの額を支給してもらっているそうだ。そして480日間のうち、最後の90日間は給与の額に関わらず180kr/日が支給される。ここで、支給額がかなり変わるので最後の90日間の取得率も下がるそうだ。

16歳未満の子供には、ひとりあたり1050kr/月(2006年7月1日生まれの子供〜)の児童手当が出る。第2子まで同額で、第3子目から増額。

エーリックは、アンナがこの学校で働きはじめるのに合わせて、8月から育児休暇を取っている。父親として、8ヶ月の娘のサーリィと一緒に家にいることを選んだエーリック。どんな気持ちなのか。

kaffe「キャリアのことや上司、同僚の反応など、長期の育児休暇(14ヶ月)を取得する上で心配なことはありませんでしたか」
エーリック「キャリアとしては仕事を続けていない分マイナスになる部分はあるだろうけれど、医師として失業することはないし、自分の人生を考えると、今はアンナ(妻)や娘と過ごす時間を大切にできるほうが重要だよ。医師として長時間働いて、スーパードクターでいることよりも、仕事と家族との時間のちょうどいいバランスを見つけるほうが僕にとっては大事なんだ。」

k「いままでの集中治療室の医師としての多忙な時間と、いまサーリィと二人で家で過ごすゆっくりした時間のギャップについてはどうですか」
E「今の時間の過ごし方はとてもいいと思っている。自由に友達と出かけたりできないから、時々8ヶ月の子供とばっかりいることが退屈だったりもするけれど、妻と娘とこの自然のきれいな島で暮らせるなんて、とても幸運なことだといつも妻と話しているんだ」(アンナは島の学校の写真コースの担当教師)

k「パッパレーディグの利点は何ですか。」
E「例えば、男性が同じように育児休暇を取るなら、仕事の面接などで、女性は出産時に長期休暇を取るからという理由で採用されない、ということがなくなる・・とか。父親も同じように育児休暇を取ることで、もっと子供との距離を近づけることができるとか。ただ、僕はアンナよりも娘と一緒にいるのにやっぱり娘は「ママ!」と言って彼女のほうに行きたがるんだよ・・(少しさみしそうに・・)」

k「まだまだ父親が育児休暇を取得する率は少ないようですが・・」
E「60日間はそれぞれの取得義務になっているけれど、父親か母親どちらが育児休暇を取るかは政府が決めるべきことではないと思っている。仕事を続けたいと思っている母親もいるし、もっと家族と一緒にいたいと思っている父親もいる。いまは母親の取得率が高いけど、どちらが育児休暇を取得するにしても、たいせつなのは自分たちで決めることだと思うよ。」

k「この制度がもっと改善されたらいいな、と思う点はどこですか」
E「ウーーン・・正直言って、480日間も休めるなんて寛大な制度だと思っているから、特に改善点はないかな。自分たちはとってもラッキーだねっていつも二人で話し合っているくらいだから。」


エーリック、サーリィ、アンナ。

2

|

« フェアトレード・アクション | トップページ | フェアトレード 2 ショッピング編 »

生活」カテゴリの記事

スウェーデン」カテゴリの記事

コメント

やっちゃん

お返事ありがとう。

H&MのHPを見ると、CSRに熱心で、児童労働とかにも気を配っているみたいなメッセージ映画があったけど、実態はまだまだなのねー。教えてくれてありがとう。

この間、PARCの講座で宮本太郎さんの話の中でもスウェーデンの育児休暇のことがでてきたんだけど、やっちゃんのレポートで具体的なイメージがわきました。

教育についてはどうですか?
宮本さんの話では、スウェーデンでは高校卒業後、大学には行かずに就職したり、ボランティアをして、30歳くらいで大学に行きだす人がけっこういるといっていましたが、それを可能にしている条件は何でしょう???

ぜひ、レポートをお待ちしています♪

投稿: おしめ(*^‐^*) | 2008年11月27日 (木) 15時11分

おしめさま

コメントありがとう!

そうなの、H&Mはここ10年くらいで
かなり改善されたみたいだよ。
やっぱり消費者の圧力は強いのだな〜と思った。
それでもまだ問題点は残っているらしい。
またちょっとこのことについては調べてみるね。

教育についても私も興味あるので、そのうちアップしま〜す

投稿: kaffe | 2008年11月30日 (日) 01時43分

はじめまして。私は東京の大学に通う大学3年生です♪前期は英語力の向上のためにボストンに留学をしていました。今は日本に帰ってきて卒論に向けて情報収集に力を注いでいます私の卒論のテーマはスウェーデンと日本の育児制度比較です。なので今回のKaffeさんの日記はとても参考になりました来年の夏もしも学校の奨学金がもらえるならばスウェーデンに実際に行って調査をするつもりです日記を読んでスェーデンのこと勉強させていただきます

投稿: えり | 2008年12月 3日 (水) 01時12分

えりさん、はじめまして!
コメントありがとうございます卒論のテーマ、興味深いですね〜。
いろいろ教えていただきたいです。
ちなみにブログの内容はここを中心に取ってきました。
http://www.fk.se/privatpers/foralder/
ご参考までに。。
奨学金出るといいですね〜
よかったらまたのぞいてみてください。

投稿: kaffe | 2008年12月 4日 (木) 01時24分

こういういい加減な訳を見ると、勉強をしている人にとって害にしかならないので、本当に腹がたつのですが、両親保険と言いたいならföräldraförsökringです。penningはお金という意味で保険という意味はありませんし、保険をさすこともありません。英語訳もparentでは両親になりませんよね。ですからparents´ insuranceまたはparental insuranceの筈です。因みにföräldrapenningが両親手当(parents´allowance英訳)という意味です。

投稿: | 2010年1月14日 (木) 20時06分

こんにちは!名無しさん^^
こんな、個人のブログにわざわざ訂正ありがとうございます。今後も何かあればご指摘お願いしまーす!!

投稿: kaffe | 2010年2月12日 (金) 03時29分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: モダン・パパ/スウェーデンの父親理想像:

« フェアトレード・アクション | トップページ | フェアトレード 2 ショッピング編 »